だるまさんが

カリフォルニア人事駐在員の足跡

駐在員の株式譲渡益 どうやって、いつ売るべきか

海外駐在。株はいつ売るか?

株は基本的に一時帰国時に日本で売るべきです。*1*2

一時帰国時に「受け渡し」されれば、国内での活動による利益と捉えられ、「国内源泉所得」扱いになります。*3この場合、日本での課税となり、米国では租税条約により免税となります。逆に、日本以外に滞在中に受渡した場合、米国での課税対象になります。

となると、どちらで課税されるのが良いかを吟味することになりますが、少し前提を確認しておきましょう。

ちなみに、NISAは非居住者を対象とできない(厳密には日本に恒久的施設(PE)があればOK)そうなので、赴任時に解約が必要です。

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「簡易口座」がおすすめ

通常の「源泉口座」*4だと、20.315%が自動的に源泉徴収されてしまいます。これは、本来米国で課税すべき売買に対しても自動的に行われます。下手したら二重課税です。そこで、できれば出国前に源泉徴収されない「簡易口座」としておくことをおすすめします。

さらに、簡易口座にしておけば、年間の利益が20万円以下だった場合に確定申告が不要になり、納税義務も免れるという特典つきです。*5


株の確定申告:特定口座(源泉徴収なし)を解説 - みんかぶマガジン

 

非居住者は取引できない

証券会社によっては非居住者と発覚したら口座を閉鎖させられたりするようですので、間違っても「海外在住です」と言わないように注意しましょう。
インターネット取引の場合、本来は証券会社が顧客の居住国から許認可を得る必要があるそうです。それができないので、非居住者をサービス対象外とせざるを得ないということです。

しかし、帰国時に日本で売却するのは法的にも問題ないはずです。

 

株の譲渡益への課税 日米比較

ようやく本題ですが、なぜ一時帰国時に売った方が良いのか、比較してみましょう。

日本で売った場合

日本では株の譲渡所得への税率は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。
ただし、非居住者なら住民税がかからないので、たった15%で済みます。

No.1936 海外転勤中に株式を譲渡した場合|所得税|国税庁

 

アメリカで売った場合

米国のCapital Gain Taxは、給与を含めた所得が少なければ0%*6、多ければ15%、20%と増えていきます。駐在員の場合、Gross-upや住宅の手当等を考えると、ほとんどの人が15%に該当するはずです。下手したら通称「オバマケア法」の「ACA」により3.8%の上乗せ*7があります。ACA施行で良かったことなんてひとつも無いですね、本当に。

これで、15%または18.8%です。これで日本より安いと喜んではいけません。

上記はあくまでも連邦(Federal)の税率であり、追加で州税が課されます。所得税自体がないテキサス州なら全く気にしなくて良いです。
最も高いカリフォルニア州(13.3%)やニューヨーク州(特にNYCなら追加で市税が課される)のことを考えると、日本より
かなり高くなります。

私含め多くの駐在員がいるカリフォルニア州を例に考えると、合計で28.3%(ACA適用の場合32.1%)もの課税がなされることになります。

 おそろしいです。

基礎控除を有効活用

さらに、日本では38万円の「基礎控除」が取れます。つまり、もし利益が38万円以下なら、所得税を払わなくて良いということです。これは非居住者でも使える数少ない控除なので、漏れなく使っておきましょう。もちろん、これを使ったからといって米国で控除が取れないとか、不利な点は一切ありません。

もし源泉口座を使っている人なら、確定申告をすることで一定額の還付請求が可能です。

 

まとめ

駐在員の日本株売却は、

  1. 非居住者でも、日本滞在時に受け渡しすれば日本で課税され、米国では免税
  2. 駐在員は日本の方が税率が低い
  3. 日本の基礎控除が使える

 ということから、一時帰国時に受け渡しするのが良いという結論です。

 

以上、自分なりに調べて書きました。しかし、ネットで調べてこの類の情報が出てこないので、もしかしたら落とし穴があったりするかもしれません。

当然ですが、自己責任でお試し下さい。

*1:損切りの場合、アメリカでした方が得なことが多いようです

*2:あくまで日本株の場合

*3:このあたり、個人の判断なので厳密にはそれぞれのTax Advisorにお問い合わせください

*4:源泉徴収ありの特定口座

*5:最大4万円得します

*6:夫婦で$80,000以下

*7:Singleで$20,000、Jointで$25,000以上の場合